SNSを中心に大きな話題を呼んでいる「アキバ歯科」。7月1日、秋葉原に開院予定の歯科医院で、歯科医院にもかかわらずコンセプトとなるのは“萌え”。
どんな歯科医院なのか。そして、なぜ萌えをコンセプトとした歯科医院を開院しようとしたのでしょうか──。オープンに先立って6月10日〜12日に開催された内覧会で、アキバ歯科の湯川譲治(ゆかわ・じょうじ)院長にお話をお聞きしました。
まずは、「アキバ歯科」の院内をレポート!
「アキバ歯科」があるのは、JR「秋葉原駅」の電気街口から徒歩6分の場所。銀座線「末広町駅」からは徒歩3分の場所で、秋葉原の中央通り沿いに位置する小木曽ビルの2階。1階には「リバティ秋葉原4号店」が入っています。
まず湯川院長が案内してくれたのは施術室。室内には歯科医院らしからぬ、ゲーミングチェア風の椅子が鎮座しています。これはテンション上がる。
「こちらは最新のデジタル顕微鏡で、抜歯やインプラントをするための機器です」。
肉眼では確認できないものをモニターに映し出すことで、より精度の高い施術を行えるだけでなく、患者自身もモニターで治療部位の画像を確認できるなどのメリットがあるそう。すごい。
次に案内してくれたのは、歯科用CT撮影ができる部屋。ちなみにCTとは、断層写真を得られる装置のこと。
「大きい病院やインプラントを専門とする歯科医院にはよくある機器なのですが、このサイズの歯科医院にCTが設置してあるのは珍しいと思います。なにせ、サイズが大きく値段もそれなりにしますからね。ですので、CTを撮る目的でアキバ歯科を訪れるかたもいらっしゃると思います」。
アキバ歯科の湯川院長に院内を案内してもらった感想としては、最新機器をインストールするなど、先進的で高度な治療を受けられる歯科医院、という印象だった。ちなみに、アキバ歯科のおもな治療内容は以下を参考にしてください。
- むし歯や歯周病の治療、予防
- ホワイトニング
- セラミック治療
- 矯正治療
- インプラント治療
- 入れ歯の治療 etc.
治療内容からも分かるとおり、萌えメイド歯科医院とはいえ、一般的な歯科医院となんら変わりなし。むしろ、ここまでで萌えな要素はひとつも出てきていません。
なぜ「アキバ歯科」は“萌え”がコンセプト?
「アキバ歯科」の大きな特徴は、女性スタッフの制服がメイド服という点。ワンピースタイプの制服を着ている歯科医院もありますが、メイド服を着ている歯科医院はかなり珍しい。
「歯科衛生士も歯科助手も、基本的にはこちらのメイド服を制服としています。ただ業務内容によっては、メイド服だとパフォーマンスが落ちることも考えられます。その場合は必要に応じて着替えますが、基本はメイド服でご対応させていただきます」。
確かに、歯科医院用にデザインされた制服のほうが機能的であることは間違いなさそう。そんななか、なぜメイド服を身にまとい、“萌え”をコンセプトとした歯科医院を開業しようとしたのでしょうか。
「歯科恐怖症の方たちを救いたかった、というのが一番の目的です。世のなかには歯科の施術はもちろん、歯科そのものを怖いと感じる方がたくさんいらっしゃいます。これまで歯科恐怖症の方々を対応してきた経験が長く、そういった方々が歯医者を訪れるきっかけをつくれないか。そう考えて萌えメイド歯科医院をコンセプトにアキバ歯科を開院しました」。
歯科恐怖症の人たちが歯科医院を訪れるきっかけになってほしい──これじたいは納得のいく答えでしたが、“萌え”をコンセプトにする以外にもその目的は達成できるはず。なぜ、“萌え”にしたのでしょうか。
「じつはお恥ずかしながら、わたし自身7年前からコンカフェに通うガチガチのオタクなんです(笑)。コンカフェを併設した歯科医院を開業しようとは漠然と考えていたのですが、併設するのではなく一緒にやってしまえ、と」。
なるほど。自身の趣味であるコンカフェの“萌え”と、自身の職業である“歯科医”を掛け合わせたのが、何を隠そう「萌え歯医者=アキバ歯科」だったのです。納得。
「わたし自身、コンカフェに行く楽しみって女の子とたくさん話して仲良くなることだと感じていて。アキバ歯科では、検査も治療もせず、スタッフと会話だけを楽しめるプランをご用意しています。スタッフと仲良くなって信頼関係が築けたことで、会話だけでなくクリーニングをして帰ったり、むし歯の治療をして帰ったり。歯科恐怖症の方たちが克服するきっかけになってくれたらいいなって思っています」。
もう1点、アキバ歯科の特徴があるとしたら受付時間。「今後、調整する予定です」と前置きはありながらも、現状は14時から23時を受付時間としています。
「コンカフェと似たような時間帯に設定した結果、ひとまず14時から23時にさせていただいています。働いている方々が通いやすい時間というのもありますが、アキバ歯科の裏コンセプトとして、コンカフェなどで働いているキャストの方々が、歯医者に行くために早起きしなくてもいい歯医者、というのがあって。それでほかの歯科医院よりも遅い時間帯に設定しています」。
「洗面台はライティングが明るくて、大きな鏡が特徴なんです。女性スタッフはもちろん、お越しいただいたキャストの方が、治療のあとにメイク直しをしたいこともありますからね」。
細部にいたるまで患者や働くスタッフのことを考えた「アキバ歯科」。もちろん湯川院長をはじめ、治療をする先生たちはれっきとした歯科医師。なかには、腕を心配する声もありましたが……
「まずお伝えできるのは、しっかりと勉強をしてしっかりと国家試験にも合格しておりますし、しっかりと歯科医院で働き、十分な経験を積んできました。分かりやすくいうと、最新鋭の機器を導入するくらい準備をしっかりしている。それくらい意気込んで開院している、ということが伝わると嬉しいですね」。
ちなみに、湯川院長の経歴は以下です(アキバ歯科のホームページから抜粋)。
- 2009年 松本歯科大学 歯学部卒業
- 松本歯科大学 歯科麻酔科所属
- 2018年 巨樹の会 勤務
- 2022年 アキバ歯科 開院
「もちろん、歯科医院なので相性の良し悪しはあります。どんな名医でも、相性が良くないと痛さを感じることはよくあることですから。なので、腕前に関してはお越しいただかないと分からないんです」。
腕前を不安視する人は、歯科医院の差別化要素として“秋葉原の萌え文化”を利用しようとしているだけなのではないか──そう考えているからなのかもしれません。筆者も取材前は少なからずそれを疑いました。
しかし、湯川院長は自他ともに認めるガチのオタクで、コンカフェ歴はじつに7年におよびます。趣味と実益を兼ねることは決して珍しいことではなく、むしろ湯川院長が“萌え”をコンセプトとした「アキバ歯科」を開院するのは必然だった──湯川院長から話を聞いてそう感じました。
「オタクであってカメコでもあるので、コミケの開催日はお休みさせていただきます。あるサークルに『コミケのときは手伝いにいく』ってもう言ってありますから(笑)。申し訳ないですが、絶対に休みます」。
7月1日のオープンを前に、大きな話題を呼んでいる「アキバ歯科」。“萌え”をコンセプトにした歯科医院ということで、なかには腕を心配する声もありましたが、「アキバ歯科」にかける湯川院長の思いを聞いたらひと安心。むしろ、最新鋭の機器を取り揃えた最先端の歯科医院であることが分かりました。
これまで歯科医院に行こうと思っていながら行けていない人。そして、かかりつけの歯科医院はあるものの、アキバ歯科が気になっている人はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。筆者はかかりつけの歯医者がありますが、「アキバ歯科」に通おうと思います。萌え萌えきゅんきゅん。
住所 | 千代田区外神田4-4-3 小木曾ビル2F |
受付時間 | 14時00分〜23時00分 |
休診日 | 火・水 |